【SOIMUSIC的バンコクディスクガイド】 ここから全てが始まった。98年常夏のフレンズアゲイン

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joey boy 『Bang-Kok』
ジョイ・ボーイ『バンコク』(ベーカリーミュージック)(1998)
JOEY BOY『Bang-Kok』(bakery music)(1998)
このCDから日本からのバンコクカルチャーへの視点が生まれたと言っても過言ではない98年の作品。
陽気なラップのM1(タイトルは「内臓」)が終わり、続くM2。どこかで聞いたことがあるイントロだなーと思っていたら、なんとフリッパーズギター「フレンズ・アゲイン」!テンポがややゆったりとしてはいますが、ほぼ完全なタイ語によるコピー!タイトルがまた謎で、ご丁寧に英語で「chou chou」というタイトルがつけられており(元々英語タイトルなのに)、さらにタイ語では「karampri(キャベツ)」のタイトルが・・・、意味不明。意味不明だが・・・、始めて聞いたときは流石にテンションあがった気がする。
JOEY BOY(ジョイ・ボーイ)は、タイで一時代を築いたレコード会社bakery music(ベーカリー・ミュージック)から94年デビューしたバンコクヒップホップのパイオニア。ジョイ・ボーイの「タイ語のラップ」はタイ語の短い音節を機関銃のように繰り広げるスタイル。タイ語が分からない人が聞いてもリズムの小気味よさは気持ちがいいものだと思う。おそらく90年代のタイ人には驚くべき新しいタイの音楽だったに違いないと思う。
そんなわけでジョイ・ボーイは、ベーカリー在籍当時から人気で、現在もgancore clubというヒップホップレーベルを作り契約も大手グランミーに移して活動中。ちなみにタイでもヒップホップはファッションと結びついていて非常に人気の音楽ジャンル。ロックフェスでも一番集客力があるのはgancore clubのステージだったりする。
さてベーカリー・ミュージックの経営が怪しくなってきた時期に、グランミーへの移籍という世渡りをはたし、「見た目アンダーグラウンドだけど流通などは超大手」という最強の状況を作っているジョイボーイはすごくビジネスセンス、プロデュースセンスがある人。自分のレーベルで、バンコクヒップホップ界の大ボス的存在をキープするだけでなく、最近ではポップスバンド(?)Doo ba dooをプロデュースしたりもしてなかなか売れていたりもする。ライブも大規模なものをしかけたり、雑誌の表紙も度々でるしで、バンコクカルチャー界の大御所といったイメージは未だある。あと麻薬疑惑!や乱交パーティーなどのゴシップがメディアに出たのも記憶に新しいところ。
で、なんでそんなヒップホップの人がフリッパーズのカヴァーかと言うとこれはbakery musicのプロデューサーのZOMKIAT(ソムキアット)さんの仕事。なんでもソムキアットさんは渋谷を歩いてるときに偶然聞いてびびっと来たそうだ。こんなエピソードからも「イープン」(日本)がいかにタイ(だけじゃなくて他の東南アジア)から強い眼差しを長い間受けているのがわかる(逆はほぼないけども)。ソムキアットはその後ピチカート・ファイブの「Sweet soul revue」もカヴァーすることになり、タイの「小西康晴+小室哲哉÷2」の異名を得ることになる・・・という話はまた後ほど。
さて、このタイの「フレンズ・アゲイン」。さらに後日談があって、2000年ぐらいにジョイボーイが来日した時のこと(日比谷公園のアジアフェスタかなにか)。ラッキーなことにその場で話すことが出来たのでこのいきさつを聞いてみようと思い、ファンらしく「フリッパーズギターのカヴァーすごくいいですね!」と切り出すと「ちゃんと権利買ってるから」という冷めた回答をいただいてしまった(笑)。その場では「そ、そうですか」的なリアクションを返すしかなかったわけだが、さらに5年ぐらいが経って日本サイドの関係者に聞いたら、そんな契約してないよーそもそも知らない、とのこと(笑)。ファンに嘘つかなくてもいいのにね!
曲順表
Organs
Chou Chou(これがfriends againのカヴァー)
Bump!
Drink Up
Be Good
Old School Anthem
Lucky
Hi So – So Hi
Maya
Papa Mama
It’s On
Break
Drink Up (Reggae Version)
【おしらせ】
06年10月14日京都メトロでのバンコクミュージシャンのイベント
HP→POP ASIA 2006 +kyoto
【おまけ】
監修したバンコクものコンピ/ウィスットの新刊
 

【SOIMUSIC的バンコクディスクガイド】 ここから全てが始まった。98年常夏のフレンズアゲイン」への3件のフィードバック

  1. 近藤夏子

    わーそのカヴァー聞いてみたい!!
    高校の時に初めてフリッパーズ聞いて以来大好きなんです!
    ちなみに今日本屋行ったらなんかの音楽雑誌でフリッパーズを大特集してるのを発見しましたよ
    なんでこのタイミングなんだろう?

    返信
  2. soi木村

    どうもコメントありがとうございます。
    タイミングは・・・多少便乗の感ありです(笑)すみません。でも、バンコクの他の音楽紹介する上でも、個人的なバンコクとの出会いでもこのCDは外せないのですよ。そして今年はフリッパーズから15年・・・そのちょうど真ん中ぐらいの頃にバンコクですごく影響を受けてる人たちがいたのを知っていただきたいというのもあり・・・です。
    東京の音楽、特にフリッパーズやピチカート、コーネリアスはバンコクの音楽家にすごく影響与えてます。smallroomというレーベルは特にその影響が強いです。もともと80年代イギリスの音楽好きだったので日本のこの辺の音楽のこともよく分かったんだと思います。この辺も後々紹介していくつもりです。

    返信
  3. 気ニナルコトバ

    小室 哲哉

    小室 哲哉(こむろ てつや、1958年11月27日 – )は、音楽家、音楽プロデューサー、作詞家、作曲家、アレンジャー、プログラマー、ミキシングエンジニア、キーボーディスト、DJなど様々な顔を持つクリエイターである。
    また、音楽プロデュースや作家活動と平行してTM N

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