こんにちは、福冨渉です。
最近、タイでインディーズブックストアが熱いみたいです。
インディーズブックストアというと何のこっちゃという感じですが、平たく言うと「大手書店が取り扱わないような本を扱う本屋さん」なんですね。タイの大きなショッピングモールなんかに入ってるような本屋さんは、どちらかというと大手出版社の傘下にあるところが多くて、その出版社が流通させてる本をメインに扱っているところが多いのです。
勿論、このタイプの本屋さんが最近になって突然出て来たという訳ではないのですが、最近は各地のインディーズブックストアが活発に色々活動しようとしてるみたいです。なんと来月6月の22日〜29日は「第一回 インディーズブックストア・ウィーク」と銘打って北はチェンマイから南はパッタニーまでの本屋さん15店が参加するイベントが予定されていたりして、ちょっとした盛り上がりを感じますね。
そしておそらく最近のこの動きを生み出したお店の一つが、bookmobyだと思います。
bookmobyは日本でも何冊か翻訳の出ている作家、 プラープダー・ユンが始めた本屋さん。
昨年頭にまず、本を書いてみたい作家志望の人たちが自由に作品をアップして交流するための場としてウェブサイトをオープンしたのですが、その後去年の9月に なって本屋さんの方もオープン。MBK向かいにあるBangkok Art and Culture Centre(BACC)の4階という立地もあって、結構な数のお客さんが訪れているみたいです。
プラープダー本人の趣味も多分に反映されているのか、品揃えはやはり小説(タイのものも外国のものも。bookmobyのmobyはハーマン・メルヴィル『白鯨』の「モービー・ディック」から来ています。)が多く、その他文化系・思想系を中心に売れ筋の本と、あまり普通の本屋にない本が混在してます。(もちろんプラープダーの出版社、typhoon booksの本も置いている)
さらにウェブサイトの方でもここで扱っている本が購入できるし、ものによっては電子書籍もあるので、遠方の人にもうれしいと。
そしてもう一つこのお店の特徴は、トークイベントが 沢山開催されていること。
作家や学者の新刊が出れば著者と編集者、その他の作家が集まってトークしたり、出版社の人たちがタイの出版について話したり、インディーズブックストアの店主が集まってトークしたり、、と結構な頻度でイベントが行われています。
しかもそのイベントが結構な盛況ぶりだったりして。
さらにbookmobyはBACCと一緒にbangkok creative writing workshopなる作家志望の人たち向けのワークショップを去年から続けて開催していて、こちらも作家、批評家、学者なんかが講師として呼ばれてるみたいです。
そしてそのトークイベントやらワークショップやらのようすが、youtubeの公式チャンネルでも公開されていて、気になる人はそちらで見ることもできるというサービスぶり(全部ではないですが)。
こんな動きを見ていると、「タイ人の読書量は年間数行だ」(昔そういう調査があったのです)みたいな話も、もはやそんなリアリティはないのかなあと思えてきますね。
現実として、今のタイでは本が好きな人たちが集まることで新しい流れが生まれてきてるみたいです。
ちなみにbookmobyなのですが、場所柄外国人観光客の方々もよくお店を訪れてきていまして、英語の本なんかもちらほらと置いてあります。さらに店内にはちょっとしたカフェスペースが併設されていて、タイのハーブジュースとサンドイッチを楽しみながら休憩、なんてこともできます。
暑い外歩きに疲れたら、冷房の効いてるBACCで展示を見て(基本的に無料だし)、帰りにちょっと本屋さんでいつもと違う休憩時間を過ごしてみるなんてのもいかがでしょう。
ちなみに営業時間は火~日の11:00~19:30です。
次回以降に他のインディーズブックストアの紹介もしていきますね。
以上、福冨渉(ふくとみ しょう)がお送りしました。普段からタイに行っては色んな本を買ってきて読んでいまして、近頃色んな動きが出てきていておもしろいので、これからタイの文芸界や出版界の話を書いていこうと思っています。それ以外にも面白い本なんかがあればそれも紹介したりしつつ、日本で読めるタイの小説の話なんかできたらな、と考えています。
よろしくお願いします。
(この記事の画像は全て許可をいただいた上でbookmobyの公式facebookページから拝借してます)
↓Bangkok Art and Culture Centre マップ↓