月別アーカイブ: 2013年7月

バンコクローカルご飯屋ガイド冊子Bangkok Secret Address その後

soi music 木村です( @kimurasoi )。

PARCO 地下ロゴスギャラリーで開催したPOV storeでおかげさまの予想の斜め上を少しいく販売数を記録することができたバンコク地元美味しいお店紹介小冊子Bangkok Secret Addressなんですが、その後の展開のお知らせをさせていただきます。

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◯販売店舗なう

渋谷の本屋さんCOOKCOOPさんで取り扱っていただいてます。こちらにいけばゲットできますよ!COOKCOOPさんは食にまつわるいろいろな本を扱っているお店です。渋谷にいかれた際にはBSA関係なく寄るべし!
http://www.cookcoop.com/

渋谷のおしゃれなギャラリーみんな大好きSUNDAY ISSUEを上っていったところです。

◯コラボなう

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8月1日よりバンコク発のおしゃれなトランクス水着ブランドTIMOとコラボで「Bangkok Summer Festa」!

ということでTIMO お買い上げの方になんとこの冊子をプレゼントしてしまうという恐ろしい企画。TIMOは街履きOKなのでTIMOはいてBangkok Secret Addressもって、バンコクのローカルご飯屋さん巡りなんてできたら楽しそうじゃないでしょうか。というグッドアイディアですよ。

開催場所は、渋谷PARCO part1の1Fミツカルストアです!PARCOのウェブ通販サイトでもOKのようです。

Meetscalストア by onceAmonth
https://www.facebook.com/Meetscal.store?fref=ts


TIMO [ティモ] ,MEETSCALストア by once A month [ミツカルストアバイワンスアマンス] の通販: PARCO CITY
http://www.parco-city.com/shop/shonc345/shonc345/item/list/bcd[]/br1097

◯イベントでます

Bangkok Secret Address3人組がこちらのイベントに出演してBangkok Secret Addressの話(=バンコクの美味しいお店の話を)します。

Desktop Error JAPAN TOUR in TOKYO

<Act>
Desktop Error (Thailand)
篠田千明 shin-chan (ex.快快)
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L?K?O
Soi48

<Thai food stall>
The Kii Maos

<Thai traditional massage>
Mika

<Thai Zine>
Bangkok Secret Address

desktop errorのライブが東京でみれますですよ!
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desktop errorといえばこんなバンドです。

というわけで、日本も夏本番ですが、タイは年中夏なのでそのムードで8月を乗り切りたいですね。Bangkok Secret Addressは続きます。

BANGKOK SECRET ADDRESS | soi music http://bit.ly/132I7Qh

サマソニ2013に出演のCliquetparのスプリットシングルがリリース!

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サマーソニック2013に出演するバンコクのタイトロニカ代表クリケットパールのスプリットシングルが登山レーベルGorgeよりリリース!お相手はFREEDOMMUNEに出演し勢いに乗るhanali!シングルのタイトルは「Sun vs Rainbow EP by cliquetpar vs hanali」ということで我らがクリケットパールはSunslayerでSun担当になりました。夜明けの太陽のようなメロディーとそれ駆け抜けるビートの珠玉の一曲ぜひダウンロードを!(投げ銭式)

Sun vs Rainbow EP | gorge.in http://bit.ly/16z5uTC

Cliquetparの映像いろいろ

soi music 木村です( @kimurasoi )。

またまたのサマソニ強化月間!ということで、今回参加ミュージシャンCliquetpar(クリケットパール)の映像を紹介します。
CLIQUETPAR | LINEUP | SUMMER SONIC 2013 http://buff.ly/18OzT6g

この辺が一番最近のクリケットパールのプレイとなる、2年前のタイBigmountain music festival でのプレイ。



ドリアンステージという360度から音像がせまってくるという特殊実験ステージだったんですが、彼の久しぶりの出演を待ちに待った熱心なファンが彼の姿に見入っていたのを思い出します。(まあそんなにいないけどW)

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変なステージ(観客席)であまり観客席上に人があがれないwww
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さて、

そもそもCliquetparがでてきたのは、2001年のFat Festivalという音楽フェスでsmallroomのブースで彼が手売りしていたCDが最初。そのときの曲がこの曲「how pain can be so beauty」です。いやー、まだまだ野暮ったいタイの音楽シーンでこの独特な個性に射抜かれました。このときまだ彼は23歳ぐらいかな…。

クリケットパールはその後so::onレーベルを立ち上げて、コンピに参加したりしていたんですが、あまりバンコクでは表にでてこなくなってしまいました。その後childiscにいたすずえりさんとのユニットendjoyや、元メルトバナナでいまは事務オルークバンドで活躍中の須藤利之さんとのバンドをやったりどんどんプログレッシブで楽しい音楽を作っていきます。

IMG_6931これはすずえりさんとの共作のため変名ENDJOYの音源。悲鳴オーヴァードライブ異端というのはどちらかというと、すずえりさんのパフォーマンスの形容なのかな…。

そのあたりの頃の音源がこちら。分裂したビートときれいなメロディーのセンスは独特ですよね。日本人が考える「タイ」とか「東南アジア」とかステレオタイプなイメージではなく、構造がワイルドだけどセンスが小綺麗なところは、真の意味で現代のタイで生まれてきた音楽だなーと感じます。日本のこと大好きなところとかもバンコクっ子っぽい。

このin the eveningのセンチメンタルな感じたまらないですね。

最後に最近の曲のビデオを。CASCADE。

というわけで、8/10(土)はサマソニに集合☆彡
CLIQUETPAR | LINEUP | SUMMER SONIC 2013 http://buff.ly/18OzT6g

あと前日8/9(金)も都内でライブやるのでサマソニ面倒な人はぜひこちらへ☆彡

8/9Fri 月見ル君とアジアンディスコナイト☆「let it die」OORUTAICHI /
Jeong Cha Sik(Korea) /鬼の右腕 / Cliquetpar(クリケットパール)  « 青山 月見ル君想フ http://www.moonromantic.com/?p=15512

サマソニ2013出演のGene Kasiditの映像いろいろ

soi music 木村です( @kimurasoi )。

Gene Kasiditといえば、最近はなんといってもこの映像が話題です。バンコクのセレブたちというかGeneの友達ばかりがでてくるテンション高いPV。曲もとてもキャッチーでいいですね。

記事もかきました。
GENE KASIDITの新曲xoxoのミュージックビデオが話題 | soi music http://bit.ly/19siakz

とそんなgeneをサマーソニック出演を機に映像で振り返ってみましょう。

2003年、Futon始動時の伝説のフェスティバルライブ。

2003年のこのフェスティバルはバンコクの音楽シーンの盛り上がりを象徴するいいイベントだったんですけれど、そのときに鮮烈なライブを行って不動の地位を築いたのがFuton。そのボーカルがGeneだったんです。めっちゃパンクですよね。

Futon初期当時のシングルI wanna be your dog。gene若い。

こちらは中期のRich Baby。なんかだんだん力が付いて来てる感じがわかります。

2005年頃のライブ。2005年はFutonが一番かっこよかった年とも当時ファンの間では言われる年です。その年のロンドン公演ですね。この年のバンコクのフェスの大雨のライブは伝説になりました。


こちらは2005年の横浜。野宮真貴さんもゲストできてくれました。

Futonは残念ながらその後2007-8年頃かな?解散してしまうんですが、それからGeneはソロへ進んでいくことになります。そしてパンクスターからなぜか見た目も徐々に変わっていきます。

DIVA化進行。女性化していきます。

セレブ化進行。

だんだんFutonの時代とは違っていってはいるんですけど、もともと歌唱力はピカ一。Futonの頃とは違った、もっとポップな歌でタイ人の広いファンがついてきてるのが今なのかなあと思いますよ。というわけで記事冒頭のキラキラした映像へ戻るわけです。バンドのキャリア後の充実したソロ時代へ突入って感じですね☆彡

 

 

SUMMER SONIC 2013の屋外island stageのデザイン

今年のサマーソニックではisland stage(通称アジアステージ)の一体のエリアデザインをバンコクのBig Mountain Music Festivalのフェスティバルデザインチームが担当します。 下のドリーミーできらびやかなイメージが、island stageの完成予想図。ステージというよりエリア全体のディレクションです。

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場所はこの辺です。
スタジアム近くの入場ゲートのすぐ近くです。去年はアジアステージがあってその周りにご飯屋さんが囲んであったエリアです。メッセ側のインドア会場との連絡バスの停留所の真裏で、メッセからBeach stage とMarine stageへと歩いてくると、この真横にでます。

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このエリアの正式名称はIsland stage / Asian market /というらしいです。 というわけでこのIsland stage / Asian market エリアを担当したデザインチーム代表の遠藤治郎にこのエリアについて話をきいてみました☆彡

 

Q:今回このプロジェクトのデザインチームについて教えてください。

遠藤:バンコク郊外で毎年12月にある音楽フェス「ビッグマウンテンミュージックフェス(略してBMMF)」のフェスティバルデザインを担当しているチームで取り組んでます。日本人とタイ人の混合チームで、日本人は、ぼく、西堀隆史、上田剛、それとタイはSupermachineという建築事務所のチームです。このチームがメインとなってビッグマウンテンフェスはフェスティバルのアートディレクションのコンセプトの提案とか全体計画、デザインから、実際の当日の照明オペレーションまで取り組んでいます。今回のサマーソニックのislandステージのプロジェクトでもこのタイ日混成の同じチームで取り組みたいなというのを、プロジェクトの構想時から希望していました。

Q:なんで今回このエリアのアートディレクションをすることになったんですか?

遠藤:BMMFのフェスティバルチームとサマーソニックの交流があったんですけれど、その流れでサマーソニックのチームが去年のBMMFに遊びにきてくれたんです。BMMFでは「フェスティバル出演の音楽コンテンツを知らなくても楽しめる音楽フェス」というのを僕らというかタイのやり方なりに目指しています。メインステージなど大きめのステージのアートワークを楽しくするのももちろんなんですが、環境のデザインをこだわって、コンサートを見てない時間も楽しめるようにアイディアを盛り込んでいます。装飾というより建築としてのデザインですね。去年は何故かタイの会場に渋谷PARCOのレプリカを再現したりもしました。あんまりタイ人には伝わってなかったけど、とにかく全力でバカなことをフェスティバルのオーガナイザーのTedさんといっしょに考えています。きっとその楽しさをサマーソニックチームが評価していただいて今回いっしょにやれることになったんだと信じますw。

Q:サマーソニックでのデザインは、どこまで担当というか、どういう方法論で実現しているのでしょう?

ステージのアートワークや照明だけはなくて、屋台の置き方そのエリア全体の照明計画までやらせてもらいました。屋内のメッセと屋外のスタジアムをつなぐエリア全部をディレクションしているということです。あと今回はBMMFの雰囲気や「タイらしさ」をどうやって伝えたらいいかなというのも課題です。大技として清水社長の強い希望で、タイから移動式遊園地を直輸入したりもしていますw

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Q:デザインのポイントというか、エリアの楽しみ方をおしえてください。

このisland stageはアジアのバンドがでるステージで、去年タイのYellow Fangが出演したのでどういうエリアかわかっていました。去年はステージ前に広い観客エリアがあってその周りを遠まきに飲食の屋台が囲んでいる形だったんです。ぼくらは観客席と屋台をまぜてエリア全体が観客席になるようなごちゃごちゃ楽しいゾーニングをしました。アジアの知らないバンドがメインにライブやるステージだし、アウトドアの気持ちがいいフードエリアだから、わいわいご飯食べながらライブみたしてもらえたらいいなと思っています。単なるステージアートワークということではなくて、その周りの環境含めてみなさんに楽しんでほしいです。

Q: ありがとうございました。
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というわけで、デザインチーム代表の遠藤治郎インタビューでした。

☆ ☆ ☆
ぼくはBMMFはタイの夜の寺のお祭りの拡大版みたいなわくわく感が魅力だな〜と思っているんですが、そんな感じの雰囲気が楽しめるかも。このエリアはパブリックエリアとのことで、フェスのチケットなくてもアクセスできるようなので、ぜひみなさんでぶらっと遊びにきてみてください!特に8/10土曜日はタイの3組出るし。

 

SUMMER SONIC 2013 にタイから3組のミュージシャンが!Gene Kasidit, Cliquetpar, Yellow Fang

soi music 木村です( @kimurasoi )。
去年につづいて、今年もタイのバンコクから3組のミュージシャンがサマーソニックに!8/10(土)のisland stageです!

今年のラインナップはかなり強力!バンコクの面白い音楽を知りたい方、知らないけど見たい方、ファンの方、soi musicのイベントに来てくださったことある方、ただ良い音楽探してる方と全方位へおすすめ!

それでは3組紹介していきます。

1. Gene Kasidit

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まずはGene。元FutonのボーカルのGene。2005年の横浜トリエンナーレの時のFutonのパフォーマンス今でも思い出しますね。Geneはインディー界の中でもかなり歌唱力があるシンガー。そして最近はこのビデオのノリにあるように存在自体がかなりセレブ化というかアイコン化していて、ファッションイベントなどにひっぱりだこのようです。最近はタイ版Nylonの表紙にもなっていたし。

(サマソニの紹介ページはこちら)

2. Cliquetpar
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Cliquetparは2001年頃にsmallroomに出入りしてたころに知り合ったのですが、出会った頃からあまりに抜けたセンスで一部からかなり待望されているのになかなか表にでてこない才能です。最近のバンコクのインディーズで面白いバンドって何?という話になると必ず話題にでてくるdesktop errorがいるレーベルと言えばSO::ON Dry flowerなんですけど、このレーベルの2003年の立ち上げはcliquetparもいたんです。
日本でもすずえりさんや須藤俊明さんとコラボしたり、John Zone’s cobraに参加したりと彼の面白さと才能に面白い人たちが集まってくる。ずっと地下に潜伏してしまっていて、なかなか表にでてこない彼ですが、2005年の横トリの須藤さんもいたライブのセットは本当にすばらしかったしsoi music的なベストアクトというといつも彼の名前がでてくる。今回は一人でライブなんですが、彼の分裂したビートとその隙間を射抜くように天から降りてくるメロディーをぜひ味わってみてください。ちなみに前日8/9は南青山「月見る君想フ」にも出演です。

月見ル君とアジアンディスコナイト☆「let it die」 « 青山 月見ル君想フ http://bit.ly/15STfRR

 

(サマソニの紹介ページはこちら)

3.Yellow Fang

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Yellow Fangは去年に続いて奇跡の2年連続出演!去年はYellow Fangの演奏時間だけ晴れてすばらしいパフォーマンスを披露。終了直後に土砂降りというまさに神がかった良い演奏した彼女たち。去年は本当にすばらしいステージでそれは終了後の物販でCDが飛ぶように売れたのがしっかり物語っています。良いライブをやると良いことがある!ということで今年も出演できた!この1年で現地バンコクでもどんどん人気がでていて、日本ではNero magazine最新号にも登場しました。2nd アルバムレコーディング中。

(サマソニの紹介ページはこちら)

この3バンドがでるのは8/10土曜日のisland stageです。island stageはスタジアム、海辺側の入場ゲート(裏口っぽいところ)すぐのところです。気軽に遊べるエリアなので、みなさまぜひ!

そらをみあげるチャバーちゃん

soi music 木村です( @kimurasoi )。

福音館書店のこどものとも年中組という絵本シリーズから『そらをみあげるチャバーちゃん』という絵本が出ました!

タイの児童文学作家のジェーン・ウェーチャチーワが書いた話に、タイの漫画家のタム(ウィスット・ポンニミット)が絵をつけた絵本です。

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チャバーちゃんは雲を見るのが大好きな女の子。家の前を通る大人たちに、一緒に見ようよと呼びかけます が、だれも応じてくれません。それでもひとり空をずっ と見ていると、仕事から戻ってきた大人たちが話しかけてきました。タイの人気作家と画家による絵本です。

と出版社の紹介文によると、この絵本はこういう話なのでぜひお読みいただけたら…という感じなのですが、タイのことを知らない方のためにバックグランドを少し解説します。

この絵本の始まりは2010年春、福音館書店のみなさんが絵本のシンポジウムに出席するためバンコクを訪れた時のことです。翻訳者のマリナさん(タイ語のニックネームがなんとマムアンさん…)がこのシンポジウムのコーディネーションをされていて、彼女の紹介で福音館の編集者たちがバンコク在住の児童文学者のジェーンさんと出会うことになりました。

ジェーンさんは児童文学『カティの幸せ』(邦題が謎の「タイの少女カティ」。そんなこと言い出したら、俺は「日本のおっさん木村くん」とかになりますよね。)という話でタイの権威的な文学賞「東南アジア文学賞」を受賞している作家です。ジェーンさんはタイではおそらくタムよりも一般的には認知度が高い方です。彼女は「東南アジア文学賞」受賞作家ですし、またウェーチャチィーワ家は代々医療関係の仕事をしてきた名家で両親も医者、実の弟さんはなんと元首相のアピシット・ウェーチャチーワさんなんです(あの男前で、そしてオックスフォードを主席で卒業したというインテリっぷりでバンコク都民から大人気のアピシットさんです。)。まあ簡単に言うと一般的なイメージは、有名なセレブファミリーの一員ってことですよね。(実際のところはセレブかどうかは知りません)。そしてジェーンさんについてもうひとつエピソードがあります。生まれもった病気で歩くことができず、生涯車椅子で生活をされているということです。タイの方のジェーンさんへのイメージっていうと車椅子に乗っているイメージかもしれませんね。

それで、そんなジェーンさんに福音館の方が「絵本つくりませんか?」という話をしたところジェーンさんは「是非」とお答えしてくれたそうで、帰国後時間を置かずにすぐにこのチャバーちゃんの話がおくらてきた、スピード感に驚いたという話を編集の方から伺いました。これが2010年の春の話です。

そこからタムのところに絵をかかないかと話がきたのが震災のすぐ後の2011年5月。それから「絵本はめっちゃ時間がかかって大変だよ」という出版業界の噂の通り、チャバーちゃんの絵本は、2年をかけて、2013年の6月にやっと出版となりました。

なぜ2年もかかったの?とみなさん思うかもしれません。はっきりいって自分もなげーなあと思っていました。しかし終わってみると「2年くらいやっぱりかかるよな」という気になっている自分がいたりもするのが福音館の絵本の作り方、さらに言うと日本の絵本の作り方なのかもしません。これを説明すると長くなってしまうのですが、丁寧な日本的な編集はうまく機能するとこんなにも良いものなんだな〜と感じた幸せな仕事となりました。

さて、話がすこしずれました。タイの話、そしてこの絵本がスタートした2010年春のタイの話に戻ります。2010年春のタイバンコクでは、あの、戦争のような強烈な報道や写真で忘れられないあの怖いデモがあった時なんです。福音館の編集者たちがバンコクへ訪れたころはちょうどこのデモの時期で、デモに関わらずともバンコクの住人たちはみんな不安な日々をおくっていました。ニュースで連日報道されたように、バンコクの中心地では衝突により死者も多数でて、街には外出禁止令がだされ非常事態が連日続いていました。特にジェーンさんの弟さんのアピシットさんは当時与党政党で首相を務めていて、自宅がデモのグループに包囲されているなんてニュースもありましたよね。

ジェーンさんがそのデモの当時どういう状況だったかはわかりません。ただそんな時期に書かれたのが、空をみあげる女の子の話だったのです。当時のタイの状況を思いながら読んでみると、絵本『そらをみあげるチャバーちゃん』には「かわいさ」とか「タイの素朴さ」とかだけでなく、何か強い想いが込められているような気がしてしまうのです。そして、作家のバックグラウンドから、そらをみあげているチャバーちゃんというのはジェーンさん自身の姿なのかなあと勝手にそう読んでしまっている自分がいるのです。

 

というわけで、2年もやるうちに、漫画家も編集者もその他外野も、みんなが大好きになってしまった「チャバーちゃん」の絵本発売記念ということで、7/7まで京都一乗寺のギャラリーで絵本原画展を行っています。展覧会限定グッズ(ポストカードセットに便箋)も売ってますのでぜひお発ち寄りください。 http://blackbird-whitebird.com/

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ででーん、タイなのに日本の夏な香り漂う一筆箋
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に日本の夏なポストカードセット
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サムット・ティータットの短編集『意味が消える前に』

こんにちは、福冨です。

バンコクでは第一回インディーズブックストア・ウィークの真っ只中で、各地の書店が独自のイベントやキャンペーンを実施しているころかと思います。今現地にいれないのがとても惜しいですね。

先のエントリーではそんな書店のうち、Bookmobyを紹介しました。実はこのBookmoby、公式のfacebookページで、毎週の売り上げランキングtop10を発表しています。でこのランキングが、結構入れ替わりが多いもので見ていて楽しいのです(もちろんずっとランキングに入ってる本というのもあるわけですが)。大きい本屋ではそうそう売れないであろう文芸書、思想書、歴史書だったりが入っているので。

その中で5月後半から数週間にわたってランクインして、ひそかな話題となっていたのが作家サムット・ティータットの短編集『意味が消える前に』でした。

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これは作家本人も言ってることなのですが、彼はタイ文学界ではまだほとんどノーネームの作家です。1984年生まれと非常に若く、これまで本名のチラット・チャルームセーンヤーコーン名義で二冊短編集を出していましたが、一つは自主制作本、もう一つは出版社の倒産でどちらも絶版。ペンネームとしてサムット・ティータットを使いはじめてからはこれが最初の作品集ということで、それも仕方ないのかもしれません。

どの作品もこの奇妙で、少し怖いくらいの表紙を反映するかのような味わいで、初めて読んだときは「ホラーか!」と思いました。シンプルで無感情な文体で日常が描かれはじめたと思ったら、途端に、違和感なく、異形の存在がそこに紛れこんでいて背筋がヒヤリとする、、

いわゆる不条理小説とはまた違うし、かといって別に恐怖を与えることが目的なわけでもなくて、あとがきにも書かれているように人間であること、動物であることの意味が問い直されているのでしょう。表紙の真っ二つになった鹿もそんなことを意味しているのかもしれません。少しだけアピチャッポン監督の映画っぽいところもあるのですが、短編ばかりということもあってそこまでの壮大なドラマ性はないのですよね。そのぶんダイレクトに異質な読後感が得られます。

この短編集、色々な作家とか批評家とかが自身のfacebookページで取り上げていたりと、ちょっとした話題になりつつあります。プラープダー・ユンが出て来たときは「新世代の代表」なんて言われてたわけですが、彼ももう40歳ですし、こういう新しい若手の作家が出てくるのはいいですね。さらに言えば自分で出版社をつくって、自分の本を出すという作家のモデルが、少しずつ増えてきている気がします。

そんなこと書かれたってタイ語じゃあ読めないじゃん、というご意見もあるかと思うのですが、彼の作品、いくつか英語になってます。Marcel Barangさんという方がひたすらタイの小説を英語にし続けてらっしゃって、そこで読めます。

“Conversation” — thai to english fiction

あとはe-bookも。

Ten Thai Short Stories

12 Thai Short Stories 2012

どれも名義は本名のチラット(Jirat Chalermsanyakorn)名義です。

ついでに言うと、なんとか日本語で読めるようにならないものかと現在画策中です。進展があったらこちらでもお伝えしますね。(福冨渉)

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(画像は承諾を得て彼の出版社Gloomphim Houseの公式Facebookページから拝借しています:https://www.facebook.com/gloomphim