タグ別アーカイブ: book

“はじめてのタイ文学 2016” @Tokyo Art Book Fair 2016

こんばんは、外もだんだん涼しくなって、季節は秋。読書の秋、ブックフェアの秋ですね!

ソイミュージックは9月16日(金)〜9月19日(月)に開催される、Tokyo Art Book Fair 2016に出展します。ブース名は”SOI BOOKS“、ブース番号はA23です!

今年も昨年同様、たくさんグッズを取り揃えています。今年の目玉のうち、一つ紹介しますね。
その名も「はじめてのタイ文学 2016」です。

14315813_10154503009622402_387487231_o

昨年のTABFで制作した「はじめてのタイ文学」の続編ですが、中身は大幅グレードアップ!現代タイ文学の作家10人の作品10篇を選び、それぞれの作品の冒頭部分を翻訳掲載しています。もちろん、すべて未邦訳の作品です。A5サイズ、全12ページ。

image1 (3)

 

表紙と裏表紙、各作品にはかわいいイラストつき!タイのデザインチーム、Ideogram Creative (URL) による描き下ろしです。ブックレットのデザインは大岡たかえさん (URL) にお願いしました。

 

 

image1

数量限定、350円で販売します。日本にいるとなかなか触れることのできないタイの文学、この機会にぜひお手に取ってみてください!

会場アクセスなど、詳細は以下URLから!連休はTokyo Art Book Fairでお会いしましょう!
URL: http://tokyoartbookfair.com/

文責:福冨渉(twitter

日本語で読めるタイ文学:雑誌『東南アジア文学』刊行中

 

福冨です。
いきなり余談ですが、先日このブログを読んでバンコクの独立系書店Candide Booksを訪れてみた、という方に偶然お会いしました。前回の記事を書いたあと、店舗スペースが拡張されてカフェのテナントが入ったため、全体的にさらにゆったりとしたお店の作りに変わっています。是非みなさんものんびりしに行ってみてください。(前回の記事

さて本題ですが、昨年末頃から、東京外国語大学の教員・学生を中心に、古今の東南アジア文学の作品を翻訳紹介する雑誌『東南アジア文学』を作っています。もともと1996年に同大の教員と学生で発行を始めた雑誌なのですが、10号まで出て1999年から休刊。2013年になってもういっちょやるかと、同年10月の第11号から再刊しました。今年の6月に第12号を発行したところです。

IMG_0293

今のところタイとベトナムの文学作品や評論の日本語訳のみを掲載していますが、今後はもっと沢山の国・地域の作品を紹介していく予定です。

基本的に無料で配布しているのですが、印刷部数が少ないためあまり多くのところにお配りできていません。その代わりと言ってはなんですが、それぞれの作家・関係者から許可をいただいて、雑誌のtumblrページから翻訳作品のpdfファイルをダウンロードできるようにしています。

第11号はこちら

第12号はこちら

各翻訳者による各作家・作品の解説や、作品からの引用などを定期的にポストしているので、tumblrユーザーの方は是非フォローもしてみてくださいね。

さてせっかくなので11号と12号でタイ文学の一体どんな作品が取り上げられたのか少し見てみましょう。

第11号

  1. 「天使の都、天使の檻(1)〔クルンテープ、クロンテープ〕」 / ウティット・ヘーマムーン(ダウンロード)
  2. 「罵る声」 / ウティット・ヘーマムーン(ダウンロード)
  3. 「ほんとうの死」 / チラット・チャルームセーンヤーコーン(ダウンロード)
  4. 「古い家」 / サムット・ティータット(ダウンロード)
  5. 「いとこ」 / シーブーラパー(ダウンロード)

上から順番に行きましょう。1と2のウティット・ヘーマムーンは1975年生まれ、2009年に長編『ラップレー、ケンコーイ』が東南アジア文学賞を受賞した、今のタイでいちばん精力的に活動している作家の一人です。2014年からは文芸誌WRITERの編集長も務めています。ここに所収された短編二本は2014年の最新短編集『悪、俗』にも所収されている二作品ですね。

これまで長編作品ではタイの地方にある自分の故郷の物語を書くことの多かった彼ですが、ここ最近ではその焦点がバンコクの都市生活に移っているような印象があります。「天使の〜」は2006年軍事クーデター直下のバンコクのスラムに生きる不良少年たちの、「罵る声」は絆と記憶を失った男と創り出された神聖性にまつわる物語、とでも言えるかもしれません。

3と4のサムット・ティータットことチラット・チャルームセーンヤーコーンは以前もこちらのブログで紹介しました若手作家です。「ほんとうの死」は本名のチラット名義で以前に出版された短編集の作品です。近未来ディストピア小説風ですが、繊細でノスタルジックな人間の意識の流れがよく描かれている作品だと思います。「古い家」は彼の作品に通底する「こちら側とあちら側」の邂逅/あるいは日常と異常の遭遇、みたいなものを冷たさを感じるほどに平易に書いている作品です。

5のシーブーラパーはなんと1905年生まれの作家ですが、現在のタイの小説の基礎を作った作家として、タイ文学を語る際には100%言及される大作家です。タイ社会における自由と平等の実現を目指した活動家としての側面と、その理想を反映した作品が注目されがちですが、彼のキャリアの最初期である1929年に書かれたこの「いとこ」という作品は、むしろ娯楽性の高い悲恋ものの短編として読めるかもしれません。時代背景を考えれば、タイにおいて「恋愛」と「結婚」が分化していく、結婚が家族のものから私的なものへと移り変わって行く過程を描写している、とも言えるかもしれませんね。

第12号

  1. セミナー「文学における市民」 / 作家集団セーン・サムヌック(ダウンロード)
  2. 「静かに流れ落ちた涙」 / シーダオルアン(ダウンロード)
  3. 「粉雪の下に眠る」 / プラープダー・ユン(ダウンロード)

1の「文学における市民」は作品ではなく、2014年に行われた、作家たちによるセミナーのもようを撮影したビデオクリップの音声をテープ起こしして、それを翻訳したものです。作家集団セーン・サムヌック(意識の光)というのは、プラープダー・ユンやウティット・ヘーマムーンをはじめ、東南アジア文学賞詩人のサカーリーヤー・アマタヤーや名インタビュアーで詩人・編集者のウォーラポット・パンポン、おそらくいまのタイでいちばんラディカルながら冷静沈着な批評を書くことのできる作家・編集者のワート・ラウィーをメンバーとする作家集団です。

作家たちが現代のタイにおける文学の役割に関する話をしているため政治的な内容も多いのですが、いまのタイでおそらく最前線にいる作家たちがそれぞれ何を思い、何を考えて作品を生み出し、行動しているのかということがとてもよくわかるセミナーになっているかと思います。

2のシーダオルアンは1943年生まれで、まだ存命中の作家です。戦後のタイ文学においては、女性の作家は軒並み大衆恋愛小説家として活動しているという相場が決まりがちなのですが、そんな中で数少ない純文学系の女性作家です。彼女の夫がタイ文学において「文芸誌」というものを誕生・成立させた編集者であるスチャート・サワッシーであるというのも影響しているのでしょう。

ここに所収された1981年発表の「静かに流れ落ちた涙」はとある若い夫婦とその間に生まれた子どものことを描いた物語です。一見家族小説的ですが、そのバックグラウンドとして見え隠れする、タイ社会に根付く格差が物語の方向性を決めているところがあります。1970年代の政治動乱が収束してからのタイ文学というのは、そのテーマが政治・社会的なものから個人的なものに移って行ったと言われていますが、そういった移り変わりの時期の作品という意味でも、興味深いです。

3の「粉雪の下に眠る」は日本でもおなじみ、プラープダー・ユンが2006年に発表した中編です。タイ語版は100ページ超の一冊の本として出版されているものなので、それがまるまる読めるとなるとお得感がありますね!

バンコク、日光、ニューヨークを舞台に、謎の奇病に自らの意志を乗っ取られていく人々と、その奇妙な症状の様子を(部屋に閉じこもりながら)追いかける男の姿を、意外や意外、かなり官能的に描いた物語です。表面的にストーリーだけを追うと放埒なディザスター小説になってしまいそうなところですが、この小説を機にその後の作品でも展開されていく広義の「自然」に関するプラープダーの思想によって、物語がかなり緻密にコントロールされています。プラープダーが実際に滞在していた日光の情景の優美な描写も心に響きますね。

さて、長くなってしまいました。日本語で読むことのできる東南アジア文学、タイ文学の作品の数というのは、他の国や地域の作品に比べるとやはりまだ圧倒的に少ないです。あまりこういった媒体はないかと思いますし、面白い作品をこれからも沢山紹介していきますので『東南アジア文学』是非読んでみてください。

IMG_0294

 

『東南アジア文学』tumblr :  http://sealit2013.tumblr.com/

tumblrの更新情報はtwitter(@sh0f)にもアップしています。

バンコク独立系書店探訪記「Candide Books」

しばらく更新が滞っていましたね。今年もよろしくお願いします。福冨です。バンコクの大学院に一年ほど通うことになりましたので、現地から色々と情報をお届けできたらと思います。

さて以前の記事でバンコクの独立系書店Bookmobyを紹介しましたが、新年明けたてに新しい独立系書店が(再)オープンしたとのことで行ってきました。それがこちらのCandide Booksです。

IMG_0463

大きなガジュマルの木が印象的ですね。

Candide Booksは、日本でもおなじみフランスの思想家ヴォルテールの小説『カンディード』から名前をとっています。(タイ語だとコンディットという音が近いです。)この書店、もともとは「ヌン(タイ語で1)」という出版社を経営していた若手作家の10デシベルとキッティポン・サッカーノンの二人が、2009年に、現在とは違う場所にオープンしたものでした。その後2010年になって、出版社Betweentheline Publishingの編集長、パッドさん(P’Padd)ことドゥアンルタイ・エーサナーチャータンさんが経営を引き継いで、現在のオーナーになっています。

2011年のバンコク洪水のタイミングで一時休業し、移転先を探していましたが、建築家でデザイナーのドゥアンリット・ブンナーク氏の事務所The Jam Factoryの敷地内に移転が決まり、今年一月二日に再オープンとあいなりました。

もともとはチャオプラヤー川を使った河川舟運のための倉庫だった建物を使用しているため、店内のスペースはゆったり、天井も高く広々かつ落ち着いた雰囲気になっています。

IMG_0562

入り口から店内を見た図。ショールームみたいですね。

IMG_0587

店内にはソファーもあります。

IMG_0564

お店の外でもゆったり座って読書ができる。

 

 

 

 

 

 

IMG_0581

品揃えはタイの小説および海外文学のタイ語訳が比較的多めです。オーナーのパッドさんは読書量も、本に関する知識も非常に豊富で、小説が多いと言ってもバリエーションに富んでいて、本棚を眺めていて飽きません。(最近は更新が減っていますが、パッドさんの書評ブログはタイの読書家たちに大人気です。)

もともとは人々の社交場としてのカフェをベースに書店のイメージが作られていたそうで、おしゃべり大好きなパッドさんの人柄もあいまって、色々なことを教えてもらえます。

右上の写真の方がオーナーのパッドさんことドゥアンルタイ・エーサナーチャータンさん。「仕事してる風がいいでしょ」という本人からの提案でポーズをとってもらったらだいぶシリアスなポートレートになってしまいましたが、実際はお茶目で物腰柔らかな女性です。

 

IMG_0558

エスプレッソ系のメニューも、ペーパードリップのコーヒーもあります。お茶は六種類のブレンドティーから選べます。

さて、名編集者かつ読書家であるパッドさんですが、読書にコーヒーはつきもの?ということで大のコーヒー好きでもあります。ぼくもバンコクでおすすめのコーヒー屋さんを教えてもらったことがあります。

ここ数年バンコクでもいわゆるサードウェーブ・コーヒーのお店が増えていますが、こちらでもこだわりのシングルオリジンの豆を味わうことができます。さらにお茶のバリエーションも豊富で、ちょっと一息つきたいときにもぴったりですね。

IMG_0572

 

本を買いにくるお客さんだけでなく、ちょっと一息コーヒーをというお客さん、仕事の打ち合わせのお客さんなど、色んな雰囲気の方がいらっしゃって、みなさん思い思いの時間を過ごしています。

ということでパッドさんがじきじきにコーヒーを淹れてくれました。タイ北部チェンマイ県はメーカムポーンのコーヒーです。ご本人いわくタイで一番好きなコーヒー豆、とのこと。

 IMG_0573

さて、ということでパッドさんに淹れてもらったコーヒーを飲みながら、早速こちらで買った本を読みましょう。日本へも何度もシンポジウムなどで訪れている人気の社会学・政治学・人類学者タネート・ウォンヤーンナーワーの『1968:革命の脚注』です。少し硬すぎましたかね。

0651

というところで終わってしまうとただお洒落なブックカフェを紹介したような形だけで終わってしまうのですが、今後はこちらのお店でもさまざまなイベント、セミナーが実施されていくようです。たとえばこの日曜日、一月十二日には、プラープダー・ユン、ウティット・ヘーマムーン、サカーリーヤー・アマタヤー、ワート・ラウィーなどの著名作家、編集者たちが参加する「文学における市民」と題したセミナーが開かれました。現在の政治的動乱の中で、文学には何ができるのか、作家たちによるさまざまな側面からの議論が見られました。

ということで、読書の場としても、憩いの場としても、意見交換と交流の場としても今後がますます楽しみなCandide Booksをご紹介しました。パッドさんおよびお店のスタッフのみなさん、ありがとうございました。(https://www.facebook.com/CandideBooks

 

※ちなみに、以下にCandide Booksのグーグルマップおよび、タイ語の地図を貼っておきますが、正直行って少し行きづらい場所にあります。主な行き方としては二つあります。

1)船にのる

BTSサパーンタークシン駅からサートーンの船着き場に歩いて行き、チャオプラヤー・エクスプレスに乗ります。方向は北行き、王宮前広場やワットポーの方向に向かう船に乗ります。15B。三つ目の船着き場、シープラヤー(Si Phraya)で一度降りたら、船着き場から一度外に出ます。道路に出たら左手にまっすぐ五分ほど歩き(ロイヤルオーキッド・シェラトンホテルを通り過ぎます)、River Cityと書かれた建物が見えますと、そこに「SI PHRAYA PIER」と書かれた白い建物の、渡し船の船着き場があります。そこから渡し船に乗りましょう。3.5Bです。

渡し船を降りたところに「KLONGSAN PLAZA」と書かれた建物と、市場が広がっています。建物に沿って真っすぐ市場を進んで行くと(途中右手にセブンイレブンがあります)、Watsonsという薬局が右手にありますので、その角を右に曲がって進んでください。少し進むと、Candide Booksがあります。

2)BTSからタクシー(もしくはバス)

BTSクルントンブリー駅の一番出口を出たところでタクシーをつかまえて、下にあるタイ語の地図を見せて行ってもらうという手もあります。路線バスだと同じところから84番に乗るという手もありますが、少し難易度が高いかもしれません。

↓Candide Books↓

 

1501489_720734477944596_753699984_o

 

サムット・ティータットの短編集『意味が消える前に』

こんにちは、福冨です。

バンコクでは第一回インディーズブックストア・ウィークの真っ只中で、各地の書店が独自のイベントやキャンペーンを実施しているころかと思います。今現地にいれないのがとても惜しいですね。

先のエントリーではそんな書店のうち、Bookmobyを紹介しました。実はこのBookmoby、公式のfacebookページで、毎週の売り上げランキングtop10を発表しています。でこのランキングが、結構入れ替わりが多いもので見ていて楽しいのです(もちろんずっとランキングに入ってる本というのもあるわけですが)。大きい本屋ではそうそう売れないであろう文芸書、思想書、歴史書だったりが入っているので。

その中で5月後半から数週間にわたってランクインして、ひそかな話題となっていたのが作家サムット・ティータットの短編集『意味が消える前に』でした。

547159_188920901255386_1346051372_n

これは作家本人も言ってることなのですが、彼はタイ文学界ではまだほとんどノーネームの作家です。1984年生まれと非常に若く、これまで本名のチラット・チャルームセーンヤーコーン名義で二冊短編集を出していましたが、一つは自主制作本、もう一つは出版社の倒産でどちらも絶版。ペンネームとしてサムット・ティータットを使いはじめてからはこれが最初の作品集ということで、それも仕方ないのかもしれません。

どの作品もこの奇妙で、少し怖いくらいの表紙を反映するかのような味わいで、初めて読んだときは「ホラーか!」と思いました。シンプルで無感情な文体で日常が描かれはじめたと思ったら、途端に、違和感なく、異形の存在がそこに紛れこんでいて背筋がヒヤリとする、、

いわゆる不条理小説とはまた違うし、かといって別に恐怖を与えることが目的なわけでもなくて、あとがきにも書かれているように人間であること、動物であることの意味が問い直されているのでしょう。表紙の真っ二つになった鹿もそんなことを意味しているのかもしれません。少しだけアピチャッポン監督の映画っぽいところもあるのですが、短編ばかりということもあってそこまでの壮大なドラマ性はないのですよね。そのぶんダイレクトに異質な読後感が得られます。

この短編集、色々な作家とか批評家とかが自身のfacebookページで取り上げていたりと、ちょっとした話題になりつつあります。プラープダー・ユンが出て来たときは「新世代の代表」なんて言われてたわけですが、彼ももう40歳ですし、こういう新しい若手の作家が出てくるのはいいですね。さらに言えば自分で出版社をつくって、自分の本を出すという作家のモデルが、少しずつ増えてきている気がします。

そんなこと書かれたってタイ語じゃあ読めないじゃん、というご意見もあるかと思うのですが、彼の作品、いくつか英語になってます。Marcel Barangさんという方がひたすらタイの小説を英語にし続けてらっしゃって、そこで読めます。

“Conversation” — thai to english fiction

あとはe-bookも。

Ten Thai Short Stories

12 Thai Short Stories 2012

どれも名義は本名のチラット(Jirat Chalermsanyakorn)名義です。

ついでに言うと、なんとか日本語で読めるようにならないものかと現在画策中です。進展があったらこちらでもお伝えしますね。(福冨渉)

881966_178004302347046_2065126745_o

(画像は承諾を得て彼の出版社Gloomphim Houseの公式Facebookページから拝借しています:https://www.facebook.com/gloomphim

 

 

バンコクの独立系書店bookmoby

こんにちは、福冨渉です。

最近、タイでインディーズブックストアが熱いみたいです。

インディーズブックストアというと何のこっちゃという感じですが、平たく言うと「大手書店が取り扱わないような本を扱う本屋さん」なんですね。タイの大きなショッピングモールなんかに入ってるような本屋さんは、どちらかというと大手出版社の傘下にあるところが多くて、その出版社が流通させてる本をメインに扱っているところが多いのです。

勿論、このタイプの本屋さんが最近になって突然出て来たという訳ではないのですが、最近は各地のインディーズブックストアが活発に色々活動しようとしてるみたいです。なんと来月6月の22日〜29日は「第一回 インディーズブックストア・ウィーク」と銘打って北はチェンマイから南はパッタニーまでの本屋さん15店が参加するイベントが予定されていたりして、ちょっとした盛り上がりを感じますね。

そしておそらく最近のこの動きを生み出したお店の一つが、bookmobyだと思います。

bookmobyは日581670_457909480949045_897895257_n本でも何冊か翻訳の出ている作家、  ラープダー・ユンが始めた本屋さん。

昨年頭にまず、本を書いてみたい作家志望の人たちが自由に作品をアップして交流するための場としてウェブサイトをオープンしたのですが、その後去年の9月に なって本屋さんの方もオープン。MBK向かいにあるBangkok Art and Culture Centre(BACC)の4階という立地もあって、結構な数のお客さんが訪れているみたいです。

プラープダー本人の趣味も多分に反映されているのか、品揃えはやはり小説(タイのものも外国のものも。bookmobyのmobyはハーマン・メルヴィル『白鯨』の「モービー・ディック」から来ています。)が多く、その他文化系・思想系を中心に売れ筋の本と、あまり普通の本屋にない本が混在してます。(もちろんプラープダーの出版社、typhoon booksの本も置いている)

さらにウェブサイトの方でもここで扱っている本が購入できるし、ものによっては電子書籍もあるので、遠方の人にもうれしいと。

384016_464915510248442_375562548_n

そしてもう一つこのお店の特徴は、トークイベントが 沢山開催されていること。

作家や学者の新刊が出れば著者と編集者、その他の作家が集まってトークしたり、出版社の人たちがタイの出版について話したり、インディーズブックストアの店主が集まってトークしたり、、と結構な頻度でイベントが行われています。

 

しかもそのイベントが結構な盛況ぶりだったりして。

945670_488192101254116_34534258_n

さらにbookmobyはBACCと一緒にbangkok creative writing workshopなる作家志望の人たち向けのワークショップを去年から続けて開催していて、こちらも作家、批評家、学者なんかが講師として呼ばれてるみたいです。

そしてそのトークイベントやらワークショップやらのようすが、youtubeの公式チャンネルでも公開されていて、気になる人はそちらで見ることもできるというサービスぶり(全部ではないですが)。

こんな動きを見ていると904093_478237748916218_1847997522_o、「タイ人の読書量は年間数行だ」(昔そういう調査があったのです)みたいな話も、もはやそんなリアリティはないのかなあと思えてきますね。

現実として、今のタイでは本が好きな人たちが集まることで新しい流れが生まれてきてるみたいです。

 

263390_488192891254037_1709108598_n

ちなみにbookmobyなのですが、場所柄外国人観光客の方々もよくお店を訪れてきていまして、英語の本なんかもちらほらと置いてあります。さらに店内にはちょっとしたカフェスペースが併設されていて、タイのハーブジュースとサンドイッチを楽しみながら休憩、なんてこともできます。

暑い外歩きに疲れたら、冷房の効いてるBACCで展示を見て(基本的に無料だし)、帰りにちょっと本屋さんでいつもと違う休憩時間を過ごしてみるなんてのもいかがでしょう。

ちなみに営業時間は火~日の11:00~19:30です。

 

次回以降に他のインディーズブックストアの紹介もしていきますね。

以上、福冨渉(ふくとみ しょう)がお送りしました。普段からタイに行っては色んな本を買ってきて読んでいまして、近頃色んな動きが出てきていておもしろいので、これからタイの文芸界や出版界の話を書いていこうと思っています。それ以外にも面白い本なんかがあればそれも紹介したりしつつ、日本で読めるタイの小説の話なんかできたらな、と考えています。

よろしくお願いします。

(この記事の画像は全て許可をいただいた上でbookmobyの公式facebookページから拝借してます)

↓Bangkok Art and Culture Centre マップ↓

BANGKOK SECRET ADDRESS

soi musicの木村です。久しぶりのエントリーです。ブログ引っ越ししてみました。
最近日本でバンコクカルチャー関係のトピックいろいろあるのでどんどんエントリー書いていきます!

BANGKOK SECRET ADDRESS <Food>というマップ型冊子作りました。
「地元タイ人が教える秘蔵のタイ料理屋」って書いてある通り、地元のバンコクっ子が教える地元の美味しいお店の紹介冊子があったらいいなというコンセプトでつくりました。

Bangkok Secret Address

今回地元っ子代表になってもらったのは、美味しいもの探求ユニットのKin-Kin。
Kin-Kinは美味しそうなお店ばっかり知っていて、二人の紹介するお店に行ってみたいなとぼくはいつも思っていたんです。(ちなみにKin-Kinはグラフィックデザイナーのカップルです。)

http://instagram.com/wearekinkin

今回の『BANGKOK SECRET ADDRESS』のディレクションとデザインはデザイナーのPedとイラストレーターのYuneちゃん。
二人は『OK GO Tokyo』(Typhoon books)っていうタイの出版社からでている、東京のアートやデザインスポットのガイドブックを、執筆からデザインまで丸々一冊自分たちだけでやっていて、なにかそういうことのバンコク版を今回できたらいいなと思ってました。

この『BANGKOK SECRET ADDRESS』は薄っぺらい一枚の冊子で、本ではないし、マップと呼ぶにはマップほど網羅的じゃないんだけど、ピンポイントにバンコクの美味しいエリアをピックアップしていて、「手軽に持っていける」「本当に美味しいものしかのってない」っていういい感じのものになったと思います。

日本の友達がバンコクやタイに行くときによく聞かれるのが「地元の美味しいお店おしえて」 って質問で、その都度foursquareやtwitterの履歴をたどって教えてあげたりしてました。
大変だけど、旅行中のご飯って実は、回数少ないし胃袋って限りがあるし、できるだけ美味しいもの食べてもらいたいなという想いがあったんです。

もうこれからはこの冊子がおすすめ!って言えて気持ちいい〜。バンコクに遊びにいく日本のみなさんはもちろん、バンコク在住の日本人でも楽しめると思います!

発売は渋谷PARCOのロゴスギャラリーで行う展示型ポップアップショップ「POV STORE Bangkokシテン」 でスタート。(会期2013.5.26-6/10)

さて、発売記念のトークイベントがあります。Ped&Yuneといっしょにしゃべります。こちらもよろしくおねがいします!

「OK GO BANGKOK」
地元のタイ人がバンコクを丸見せスペシャルトークイベント

OK GO BANGKOK

5月25日土曜日13:00から開催!

「BANGKOK SECRET ADDRESS:
地元タイ人が教える秘密のおいしいタイ料理屋」

を編集・デザインしたアーティストたちによる
トークイベント開催決定!!!!!!
by
PAKPOOM LAMOONPAN
PAYOON WORACHANANAN
Kimura Kazuhiro
POV SOTRE BANGKOKシテン
■場所
ロゴスギャラリー(渋谷パルコ パート1 B1F)
http://www.parco-art.com/web/logos/exhibition.php?id=559
https://www.facebook.com/PovStore

5月/タイフェス後のタイカルチャー週間

バンコクはいろいろ大変で、日本では今週末タイフェスが開かれるわけですけれど、それには目もくれず、タイ関係のカルチャーイベントいろいろ予定してますというかいろいろあります。プラープダー・ユンとかウィスット・ポンニミットとか、タイショップのtamaribaとか、タイ人ではないけど元Futonのmomokomotionライブ等々。

ウィスットやプラープダーさんとの出会いは2001年頃だったけど、こんなに日本でいろいろやるようになるとは誰も思わなかったよね。というわけでウィット・ピムカンチャナポン作成のタイランド政治年表とともに、イベントの情報おとどけします。

余談ですが、プラープダーさんは長編「パンダ」の出版も控えているそうです。

5/25 「猿と石」/ライブパフォーマンス/ウィスット・ポンニミット、内橋和久、飴屋法水
5/28 「THREE LIVES」/ライブパフォーマンス/ウィスット・ポンニミット、プラープダー・ユン、福冨渉
5/28-6/13 「9 on 3:9 Thoughts on a Leo Tolstoy Story 」/展示/プラープダー・ユン
5/29-6/13 tamariba shopルンルン
5/29  ウィスット・ポンニミットサイン会@六本木、
5/29 momokomotionライブ@新宿LOFT
5/30 「タムくんVSグッドラックヘイワ」/音楽ライブ/ウィスット・ポンニミット、グッドラックヘイワ
6/1  「TWO exhibition」/展示/ウィスット・ポンニミット&ワチラポーン・リムビプーワッド

ウィスット・ポンニミット「ロマンス」

全然投稿してないなーと唖然なこのブログですが、ビッグマウンテンフェスなどもあったタイカルチャー界ですが、

ロマンスタイのマンガ家と言えばのウィスット・ポンニミットことタムの新刊が出るのでご紹介します。「everybodyeverything」「タムくんとイープン」に続く短編集です。

『ロマンス タムくんのラブストーリー短編集』

発売日:2010年2月25日

定価:1238円+税(税込:1300円)

ページ:152ページ(1色+2色)

BONUS TRACK

やくしまるえつこ×タムくん対談つき

[寄稿]よしもとばなな「タムくん」

タムくんのタムくんによる作品解説

Amazonはこちら
http://bit.ly/a5HLwC

僕が好きな話はラブエレベーターかなー。これは書き下ろしです。今アニメをタムがつくっていて、もうすぐこちらの出版社の特設webで公開できるはずです。明日か明後日ぐらい?

http://www.ohtabooks.com/romance/top.html

この本は「ロマンス」「女子学校」というマンガを今は亡き「少年文芸」に書いたところから始まっています。「クイックジャパン」で3回連載をして、書き下ろしも加えました。

ゴルフ

タイ的な話で面白い話と言えば、タムはいわゆる「ネーム」は日本語で書くようになりました。これは小学館IKKI誌での連載のおかげなのですが、タイ語考えたネームを日本語に翻訳して編集者に送る。というプロセスが面倒で、日本語で書くようになってしまったんです。後からタイ語のネームつくるのは簡単ですよね。自分で考えた話だから、いくらでも難しくタイ語を書くことはできるからです。

さて、タムは来週から来日で、イベントいろいろやりますよー。盛りだくです。
http://soi.typepad.jp/tum/

6日谷川俊太郎さんライブ

11日池袋リブロサイン会

12日細野晴臣さんライブ

13日kid’s disco

14日珍しいキノコ舞踏団とイベント

以下、本の紹介です。

『ロマンス タムくんのラブストーリー短編集』

発売日:2010年2月25日

定価:1238円+税(税込:1300円)

ページ:152ページ(1色+2色)

BONUS TRACK

やくしまるえつこ×タムくん対談つき

[寄稿]よしもとばなな「タムくん」

タムくんのタムくんによる作品解説

こんなに幸せだったり、さびしくなったりするのは

恋というらしいけど――

運命の相手、片想い、うまくいく恋、叶わない恋。

誰かが誰かを想う「愛しいきもち」がたくさん詰まった、珠玉のラブストーリー短編傑作選!

よしもとばななさん推薦!

「この作品集は大人になっていろいろな苦く切ない思いを味わってきていないと

書けないものばかり。そこにはすてきな魔法がいっぱいこめられている」

【CONTENTS】

『ロマンス』

『チョコと宇宙』

『一目ぼれ』

『女子学校』

『ゴルフ』

『手をつなぐ』

『フロート』

『ラブ・エレベーター』

[BONUS TRACK]

タムくんのタムくんによる作品解説

やくしまるえつこ×タムくん対談

よしもとばなな「タムくん


これは前書きです。
イントロ