【SOIMUSIC的バンコクディスクガイド】タイ初のシューゲイザーバンド!?

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goose
グース / 20ガンズ・ポインティング・イン・ユア・フェイス (smallroom) (2005)
Goose / 20 Guns Pointing Pointing in your face (smallroom) (2005)
当コラム、いつも「バンコク初」のとか「タイ初の」とか言っている気がしますが、バンコクでは「広く浅く」各ジャンルに1バンドぐらいづつ良いミュージシャンがいるのです。それがバンコクの良いところであり弱いところというか・・・。でも初めはどんな文化もこんなもんかもしれないなーその後にフォロワーが来るもんだ!とも思うとこの人たちはバンコクなりの時代を作ってるとも思えるとかなんとか言い訳したりして・・・。
と、いきなり蛇足から始まりましたが、今回はバンコクポストロック界の期待の星、GOOSEの2ndアルバム。激しいギターの洪水(トリプルギター)と電子音が特徴のアルバム。MOGWAIやGY!BEなどが引き合いに出されているだけあって「重厚」「ハード」なんて言葉が似合いそうな感じにメランコリックでダークな世界観。とても夏が毎日40度越えのバンコク生まれてる音楽とは思えないほどクール。ただあくまで真っ暗になりきらない感じなのは、甘い声のヴォーカルのおかげか。
GOOSEは2004年に「GOOSE」(DRY FLOWER)でデビューした男の子5人組のバンド。1stアルバムはバンコクのインディーズ専門ラジオ局のチャートの上位に食い込み、現地の音楽ファンの話題となった。轟音ギター炸裂のライブには音楽関係者や熱心な若いファンが集まり、バンコクで今一番話題になれる若手バンドといったらGOOSEというのは間違いなし。「タイ初のシューゲイザーバンド」という文句は僕が考えたものではなくタイ人が言っていたもの。
goose members
グースのメンバー。左よりNym(G)、Kong(B)、Tong (V&G)、Ba (Dr)、Art(G)。一番左のギターの太っちょ「ニム」がリーダー的存在。彼のライブのギターが最高。
その後2005年春には、バンコクのエレクトロニカレーベルso::onのコンピ「Gosted Notes」に参加。このso::onは実際にMOGWAIと交流があるレーベル。吉田達也さんやディクソン・ディーを招聘したりと精力的に活動。主宰の清水宏一氏はGOOSEのサウンドのMIXを担当。(*ここの情報を訂正しました。)GOOSE第6のメンバーと言ってもいいぐらいの役割を担っている清水氏はGOOSEに限らず、今のバンコクのサウンド作りのキーパーソン。浅野忠信氏主演の映画「invisible waves」の音響も担当している。
so::on(http://www.myspace.com/ghostednotes)
話は戻ってGOOSEがその後2005年の秋にバンコクインディーズの最大手(なんか変ないいまわしだ)smallroomからリリースしたのが本CD。このGOOSEというバンド、冒頭でも書いた通りかなり硬派な音楽性が売り。話題になっているバンドとは言え、このCDがバンコクっ子に売れるのか?という心配はかなりあった。が、蓋を開けてみれば、なかなかな売り上げを記録したようでsmallroomのスタッフもGOOSEもそして周りの関係者も安心とともにバンコク音楽市場の現状を嬉しく思ったりもしているのだ。
smallroom(http://www.smallroom.co.th/)
さて、この渋く通好みされそうなバンドが何故「バンコク渋谷系」なんて形容されることもあるポップなレーベルカラーが売りのsmallroomからリリースされたのか。それは94年に話はさかのぼる。過去のエントリーでも書いたが、smallroomは当時英国直径の音楽をやって全く売れなかった伝説のインディーバンド「crub」というバンドのメンバーが興した会社。時流にそっぽを向かれた当時の反省もあり、smallroomではポップな音楽で市場との折り合いをつけ、インディーズブームの火付け役として、地道なバンコクっ子の音楽啓蒙活動にいそしんでいたのです(たぶん)。
そして状況が徐々に整いつつある中、smallroomのディレクター氏が(crubのような)次世代のバンドの登場を待っていた時に現れたのが、このGOOSE(たぶん)。ディレクター氏が10年以上の時を経てGOOSEに自らのcrubを重ねているのは間違いない。そんな経緯があり、GOOSEはネオ渋谷系なんて言葉を吹き飛ばすように、GOOSEらしい爆音サウンドの作品をsmallroomよりリリース。そして、それがある程度の数で受け入れられてる状況はsmallroomのディレクター氏にとっては10年越しの夢果たしたり!という感じなのだろう。
smallroomとso::onという毛色が違うバンコクの2つのレーベルから愛されているあたりもGOOSEへの期待のあらわれ。モダンドッグ以降、音楽性と大衆性を上手く両立させたギターバンドがなかなか出てきてない今、GOOSEへの視線は熱い。
GOOSE2
スナップ風アー写。しつこいが左から2番目のGのニムが最高。中央のトン(Vo)がスポーツマン風なのもなかなかよい感じ。
ちなみにすごい個人的な感想ですが、このアルバムが今のバンコクの音楽の中では一番好きなワタクシ。それと音源も良いですが、5人の男子が汗かきながら繰り広げるライブはなかなかに良いです。でぶっちょ、痩せ、スポーツマン風と見た目もなかなかキュート。本当に今も今後も楽しみなバンドです。そんなこんなでGOOSEも10月14日の京都のイベントに出演(笑)。手前味噌ですが、バンコクNOWなGOOSEは、なかなか日本で見る機会はないと思います!ヨロシクです。以上!
POP ASIA 2006 +kyoto
曲順表
1 Disappear Son
2 for Andy
3 ไหม้
4 In my eyes
5 เวลาที่มี
6 ฝุ่นผง
7 click
8 ลั่นทม
9 เปลือก
10 Midnight Piano
11 To Die For
12 no.9
13 เมฆฝน
視聴はこちら(http://www.myspace.com/verygoose)
【告知】
06年10月14日京都メトロでのバンコクミュージシャンのイベント smallroomのミュージシャンも来ます。
HP→POP ASIA 2006 +kyoto
監修したバンコクものコンピ(GOOSE収録)
 

【SOIMUSIC的バンコクディスクガイド】タイ初のシューゲイザーバンド!?」への2件のフィードバック

  1. 木村

    おくれましたが、失礼しました。
    NIM君がやってたんですね。訂正させていただきます。

    返信

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